fusachikoの日記

会社を辞めて、外国へ。

コロンビア人男性に口説かれた話

オーストラリアにきた最初の1カ月、語学学校に通った。授業の合間の休み時間に同じクラスのコロンビア人男性と何てことのない雑談をしていたら、突然"Can I say something?"(言ってもいい?)と聞かれた。

 

彼の意図はさっぱりわからなかったけど、断る理由もないのでイエスと答えた。すると彼はこう言った。

 

"You are beautiful."(君は美しい)

 

笑った。これまでの話に何の関連もないし、「これがウワサに聞く女性に積極的な外国人か!」という新鮮なワクワク感があった。こんなにシンプルかつストレートに褒められたのも初めてだ。

 

気恥ずかしくはあったけど、うれしかったから、素直にセンキューと答えた。すると、"You are..."と彼は何か言葉を続けようとしている。単語が思い出せない様子で、目をつむり、指を鳴らす仕草をしながら考えていた彼が、パチンと弾いた指をわたしに向けながら言った。

 

"exotic!!"(エキゾチック!)

 

指をパチンとしながら褒め言葉。すごい。日本人がやったら絶対寒いこの仕草が、しっかり様になっている。これが、外国人……!これが本当の、エキゾチックジャパン……!!

 

そしてその日以来、彼からの積極的なアプローチを受けるようになった。

 

ペアやグループで課題をやるときには必ず誘われるようになり、クラスメイト全員に同じ質問をして回るアクティビティでは「彼氏はいる?いない?オッケー。じゃあ本当の質問だけど……」とわたしにだけスペシャルクエスチョンが用意され、授業で習った表現を使った褒め言葉や口説き文句のメッセージが頻繁に届くようになった。

 

単純なもので、こうしてアプローチを受けるうちに、少しづつ彼のことが気になり始めている自分がいた。仕事の兼ね合いでなかなかお互いの予定が合わなかったけど、デートしてみてもいいな、くらいには思っていた。

 

ある日、課外授業としてクラス全員でバーべキューに行くことになった。

 

みんなでテーブルを囲んで食事をしながら楽しく話をしていたけど、彼は隙あらば「結婚するなら日本人がいいな」といった風に、わたしへの好意をむき出しにしてくる。クラスに日本人はわたし一人だから、彼の発言の真意はバレバレだ。

 

「○○くんがあなたのこと好きらしいよ」なんて噂を聞いた日には「○○くんと話したらみんなにからかわれてしまうかもしれない」と○○くんを避けて通りたくなってしまうタイプの人間なので、みんなの前でこういうあからさまなアプローチをされると困ってしまう。端的に言えば、けっこう嫌だった。

 

そんなわたしの気持ちに気づくわけもなく、彼の調子は変わらない。それどころかだんだんエスカレートし、「ベッドで一人で寝るのが寂しいんだよ。素敵な女性をぎゅーっと抱きしめながら寝たいんだ。わかるだろう?」とわたしに視線を送ってきた。

 

引いてしまった。ドン引きと言っていい。前職の上司に「濡れてんだろ?」とセクハラ発言をされたときですらへっちゃらだったのに、好意が込められている分、「あ、この人わたしのことセックスの対象としてみてるんだな」というのをものすごくリアルに感じて、気持ち悪くなってしまった。

 

翌日にわたしが学校を卒業して距離が遠くなり、そっけない返信から汲み取ってくれたのか、ほどなくメッセージがくることもなくなった。こうして恋の予感はあっけなく終わりを迎えたが、あのバーベキューがなかったらどうなっていたんだろう。「恋はタイミング」なんて言うけれど、ひょっとしたらひょっとしていたんだろうか。

 

今週のお題「恋バナ」